精子と卵子の出会いと着床
精子と卵子の出会い
成熟した主席卵胞のなかの卵子が膜を破って卵巣の外に飛び出すと、卵管采というイソギンチャクのような形をした部分がその卵子をキャッチし、卵管の入り口である卵管膨大部で待機します。そして射精された何億個もの精子は子宮に入り、卵管を通って卵子の元へとたどりつきます。
24時間しか生きられない卵子と違い、精子は平均して3~5日間生き延びると言われています。射精とともに卵子へと目がけた競争はスタートし、卵子が待つ卵管膨大部まで最初にたどり着いた何億匹のなかのたった1匹だけが、卵子と受精することができるのです。
精子は頭からアクロソームという卵の殻を溶かす酵素を出していて、その作用で卵の殻を突き破って内側に侵入します。侵入した瞬間、卵の周りには受精膜というバリアが張られ、他の精子の侵入を防ぎます。
受精卵の着床と妊娠成立
卵胞は左右どちらかの卵巣に育ち、それが黄体化ホルモン(LH)の分泌により排卵されます。卵管膨大部で受精できた胚は、細胞分裂を繰り返しながら卵管のなかをコロコロと転がり、子宮にたどり着き、そしてふかふかに準備された子宮内膜へと着床します。
胚は卵管をコロコロと転がる間に分割を繰り返すわけですが、受精から2日目に4分割、3日目に8分割となり、4日目には分割がさらに進み、細胞同士が融合し割球がわかりにくい状態になります。この4日目の胚は一見桑の実のように見えることから桑実胚とよばれています。その桑実胚のなかにスペースが出来ます(胞胚腔の形成)。そのスペースが完全に広がった状態が胚盤胞です。順調に分割が進むとこれが5日目に起こります。その後、胚盤胞は透明帯をいう膜を抜け出て(=ハッチング、つまり孵化すること。)子宮内膜へと着床します。
胚が着床するのは5-7日目。着床した胚は外側から絨毛と呼ばれる根のようなものを出し、子宮内膜に結びつきます。受精から着床までのステップの間のどこかで止まってしまう胚も存在します。その場合は着床に至らなかったということであり、ハッチングし、子宮内膜にしっかりと着床した場合、妊娠が成立します。