人工妊娠中絶について
当院ではすべての症例にMVAを行っております
流産手術は保険適応ですが、手術内容は同じです
手術方法
- 手術台に上がったあと麻酔を注入していきます。
- 麻酔をかけて完全に無痛にします。
- 麻酔が効いた後に子宮口をプラスチックの柔らかい素材で広げていきます。(当院ではラミナリアによる前処置は行いません)
- 週数にあった広さまで子宮口を広げた後にMVA(手動真空吸引法)にて子宮内を吸引していきます
手動真空吸引法(MVA)とは?
MVAは、吸引管が柔らかい素材でできており、子宮の内膜を傷つけずに処置をすることができるものです。
吸引器も含めてすべて使い捨てであるため、極めて清潔です。
手動真空吸引法(MVA)を使用するメリットとは?
- プラスチックの柔らかい素材であるため、子宮壁の損傷や子宮穿孔のリスクが少なくなります。また、子宮の形状(後屈や子宮奇形、子宮筋腫など)によって金属カニューレでは難しい手術も安全に手術が行えます。
- 子宮内に挿入する器具先端が細いため、子宮頸管の拡張が少なくなり、麻酔が切れたあとの痛みの軽減に繋がります。また、子宮経管裂傷の危険が少なくなります。処置時間も短時間で済みますので、少ない麻酔の量で手術を行え体への負担が減ります。
- MVA法は子宮の中身を吸引するだけであり、子宮内膜を傷つける事がなく、術後に内膜が薄くなることが少なくなります。習慣流産などで手術が繰り返される症例でも子宮内膜を気づけるリスクが軽減できます。
- 流産時の染色体検査で十分な絨毛組織が必要な場合でも、遺残なく確実に検体を回収できます。(MVAはカニューレにシリンジが直接つながっているため)
*MVAを使用した手術は海外では広く行われておりますが、日本でこの方法を行っている施設はまだ多くはありません。
しかし世界的に一番推奨されている手術方法であり、WHO世界保健機構および世界産婦人科連合からも、MVAは強く推奨された手術法です。
手術費用
140,000円(税込)~ (MVA使用)
週数により金額は異なります
※診察代3,000~5,000円、感染症検査代16,000円は別途かかります
※流産手術は保険適応となります
手術の合併症は?
- 術後の子宮復古不全
術後1週間後にエコーで確認し、まだ子宮の戻りが悪い場合は再度子宮収縮剤を処方いたします。費用はかかりません。 - 子宮内感染
術後に抗生物質をと子宮収縮剤をお渡ししますので、できちんと内服してくだされば問題ありません。
稀に術後1~2日してから39度くらいの高熱が出る場合がありますが通常は1日程度で解熱します。 - 子宮穿孔
子宮に穴が開くことです。当院では今まで行った手術に関しまして起こったことはございません。しかし、100%今後も起こらないとは限りません。妊娠子宮はとても軟らかくなっておりますので穴が開きやすい状況下で手術を行わなければなりません。 十分に注意して行いますが万が一穿孔した場合は適切な処置で対応させていただきます。 - 骨盤内腹膜炎
子宮と腹腔は卵管を通して交通しております。手術は十分な清潔環境の下に行いますがそれでもまれに腹腔に微量の細菌が入ってしまうことがございます。これは基本的には術後の抗生物質をきちんと内服していただいていれば問題ありません。 万が一腹膜炎になってしまった場合は安静、入院、点滴等を行います。 年間700件以上の手術を行っておりますが、今までの患者様におきましては問題となる合併症を起こされた方はおりません
術後の過ごし方は?
- 2~3日は安静
- ②術後1週間は湯船には入らずシャワーだけにしてください。
- 手術後は7日くらい出血が続きます。
- 万が一高熱が続いたり腹痛がひどくなるようであれば遠慮なくご連絡ください。
- 性交渉は2週間程度避けてください。 また感染しやすい状況なので必ずコンドームをつけてください。
- 手術後の1週間程度はアルコールは避けましょう。
次の月経はいつきますか?
個人差はありますが、通常1~2ヶ月で来ます。それ以上こない場合は必ずご来院ください。
月経がこなくても妊娠する可能性はありますので必ずコンドームをつけて避妊しましょう。
中絶したら不妊になりやすい?
きちんとした手術を行えば不妊になることはございません。
ただ妊娠したということはコンドームをつけなかったということですので、クラミジア等の性病の感染も否定できません。クラミジア感染は不妊の原因になりますので、術後または術前にクラミジアの検査を行うと、より安心だと思います。
また妊娠しないか不安です。どうしたらいいですか?
当院では低用量ピル(OC)の服用を勧めております。きちんと子宮がん検診、乳がん検診をおこなっていれば服用することによるメリットがたくさんあります。